NotebookLM引き継ぎ録②「代理店対応でAIを試してみた」ー NotebookLM 実践レポート ー

仕事

はじめに

NotebookLMとの出会いは、
ある“危機感”からでした。

その危機感の正体は、
「引き継ぎがうまくいかない」という問題です。

前回の記事では、
引き継ぎが失敗する本当の理由は
「属人化」にあるという話を書きました。

NotebookLM引き継ぎ録①「引き継ぎが失敗する本当の理由」――属人化という恐怖
定年まで半年。引き継ぎ書を書こうとして手が止まった。属人化・資料分散・後任が比較される痛み…引き継ぎが失敗する本当の理由を実体験で解説(NotebookLM引き継ぎ録①)

私は長年、営業窓口担当として
代理店からの製品問い合わせに答える仕事をしてきました。

毎日のように届く問い合わせ。

・この用途にはどの製品がいいか
・代替品はあるのか
・仕様はどこまで耐えるのか
・顧客向けの報告書を作成してほしい
・製品不具合の調査、返品処理、対策書の作成

多いときは、
一日中その対応だけで終わることもあります。

もちろん代理店の方々も忙しいのは理解しています。

私は組織管理職として、他部門にも相談しました。
問い合わせ対応を分担できないか、何度も調整を試みました。

しかし現実は厳しく、
スタッフ部門も人員不足。

一部は移管できましたが、
大半の問い合わせは営業が対応する体制のままでした。

単なる仕事の押し付け合いでは、
この問題は解決しない。

そう感じていました。

そして正直に言うと、代理店に対して
こう感じることもありました。

「少しは自分で調べてから質問してほしい」

中には、顧客からのメールをそのまま転送し、
ほとんど調べず丸投げのような問い合わせもあります。

すると結局、
私が資料を探し、社内に確認し、
回答を作ることになります。

問題はもう一つありました。

それは――

私が退職したあと、どうなるのか。

製品知識や問い合わせ対応は、
資料だけではなかなか伝わりません。

しかも製品のお問い合わせを受けるコールセンターも高齢化で、
人が減り始めています。

このままでは、
製品知識がまだ十分でない新しい担当者では
とてもさばききれない。

そこで私は考えました。


第1章:社内で一番デジタルに強い人に相談した

社内で一番デジタルに詳しい方にAIで解決できないか?相談しました。

そのAIの提案理由を聞いて、
私はすぐに興味を持ちました。

NotebookLMは
クローズド型のAIです。

つまり、

・自分が読み込ませた資料を優先して回答する
・外部情報のノイズが入りにくい
・情報漏洩のリスクも低い

一般的なAIのように、
インターネットの情報を無差別に拾うのではなく、
自分が登録した資料を基に回答する仕組みです。

情報管理が求められる企業環境でも、
比較的安心して使えるAIだと感じました。

しかもGoogleアカウントを新たに作り、
共有すれば複数人でも利用できます。

PDF50枚までの読み込みであれば
無料で使えるという点も魅力でした。

そこで私は、
代理店に提供しても問題のない資料を選び、

  • 製品資料
  • 問い合わせマニュアル
  • 社外向け説明資料

などを代理店に共有し、
NotebookLMに読み込んでもらいました。

さらにもう一つ。

代理店からよく聞いていた、
こんな声も反映させました。

「御社の問い合わせ先が分かりにくい」
「たらい回しにされている気がする」

話を整理すると、たらい回しの原因は主に次の3つでした。

  • 事業部やスタッフなど部署が複雑で、どこに聞けばよいのか分からない
  • 個別に問い合わせフォーム・ルールなどが存在。適切な方法を知らない
  • 質問側の必要事項が不足し、「調べてから再度問い合わせてください」と言われてしまう

そこで私は先回りして、

・適切な問い合わせ先
・問い合わせ方法
・問い合わせに必要なデータ

これらもマニュアル化し、
AIに読み込ませました。

実は以前、お客様からの問い合わせを減らそうとして、

社内の製品別・目的別に整理した
複雑な問い合わせ先一覧を作ったことがあります。

しかし、それにも関わらず
私への電話はほとんど減りませんでした。

なぜか?

代理店の方に聞くと、こう言われました。

「リストが複雑すぎて探すだけでも苦痛。
マリブさんに聞いた方が早いです」

確かにその通りです。
私でも同じことをすると思います。

つまり問題は、
情報がないことではありません。

「探すのが大変」なのです。

そこで私は考えました。

人が探すのではなく、AIに探させればいい。

AIは文書を読むだけではありません。
その資料を使って、人の思考を再現することができるのです。

第2章:複雑な問い合わせでも、AIは迷わない

通常、問い合わせ対応のマニュアルは
かなり複雑です。

製品情報は事業部ごとに分かれているため、
まず「どの事業部の製品か」を把握する必要があります。

さらに問い合わせ先は
製品ごとに担当部署が違うことも多い。

その一覧表を見るだけで、
代理店の新人は嫌になってしまいます。

しかしAIは違います。

質問を入力すると、

各PDFから必要な情報を拾い上げ、
組み合わせて答えてくれるのです。

例えば、こんなことも教えてくれます。

  • 誰に聞けばよいのか
  • どの部署が担当なのか
  • どんな情報を用意すればよいのか
  • 次に何をすればよいのか

さらに私は、
代理店の社長にこんな質問をしました。

「御社の営業には、どんな役割を期待されていますか?」

すると、次のような答えが返ってきました。

・顧客の潜在的なニーズを引き出す力
・顧客に最適な製品を提案できる力
・単なる価格ではなく、価値を提案できる力

私は、この言葉をとても重要だと感じました。

そこで、この考え方も
NotebookLMに読み込ませました。

つまり、

”代理店営業が判断に迷ったときの「判断基準」”です。

顧客は時に、
メーカーにとって厳しい要望を出すことがあります。

代理店営業担当はそのたびに

メーカーと顧客の間で
板挟みになります。

そんなとき、

自分の判断軸を見失ってしまうことがあります。

実はこの「判断軸」という考え方は、

AIに相談するようになってから

改めて強く意識するようになりました。

以前、ChatGPTと

「お金持ちになれる人となれない人の違い」

について考えたことがあります。

結論はシンプルで、

判断軸を持っているかどうかでした。

リベ大で気づいた――お金持ちになれる人となれない人の違いをChatGPTと考えた
リベ大の動画で語られた「お金持ちになれる人・なれない人の違い」。 ChatGPTとの対話を通して、自分でも気づかなかった“お金持ちになりたい理由”を5つに整理。 定年後の生き方を見つめ直すヒントです。

しかし判断基準があれば、

双方の譲れない部分を整理し、
第3の選択肢を考えることができます。

AIは情報を探すことはできます。
しかし判断基準がなければ、正しい答えにはたどり着けません。

実はAIの面白いところは、

仕事だけでなく個人の発信にも応用できることです。

私自身、ブログを書くときにも

AIを「思考整理のパートナー」として使っています。

ブログを始めたばかりの頃、

収益化までに何を考え、何をやったのかは

こちらの記事にまとめています。

【体験談】リベシティ”お金の勉強フェス2025”で学んだ「ブログ収益化0→1」の5つのヒント
リベシティ「お金の勉強フェス2025」で得た、ブログ収益化0→1を実現するための5つの実践ヒントを公開。テーマ設定、収益導線、読者目線の工夫、仲間づくり、マインドセットまで具体的に解説します。

第3章:問い合わせは劇的に変わった

結果はどうなったのか。

まず、代理店からの
総合窓口である私に対する

問い合わせの数が減りました。

肌感覚では、
半分以下になったと思います。

もちろん、これは
引き合い自体が減ったという意味ではありません。

NotebookLMを使うことで、

「この製品の原産国はどこですか」といった
比較的簡単な質問であれば、

代理店自身が
自分で答えにたどり着けるようになりました。

つまり、

これまでメーカーに問い合わせていた内容の一部は
代理店の段階で解決できるようになったのです。

そして、もし答えにたどり着けなかった場合でも、

最初から適切な事業部の営業担当へ
問い合わせが届くようになった
のです。

メールのCCには私も入っているため、
その変化をはっきりと実感することができました。

つまりNotebookLMは、
問い合わせを減らすのではなく、問い合わせを“正しくする”ツールだったのです。

そして、もう一つ大きな変化がありました。

問い合わせの質が上がったのです。

代理店の方が、AIで事前に調べ、
仮説を立ててから質問してくるようになったからです。

これは、想像以上の変化でした。

後から代理店の方に聞くと、
実は私たちメーカーに問い合わせをすること自体が、
少なからずストレスだったそうです。

NotebookLMを使えば、
まずAIで答えに近づくことができます。

さらにNotebookLMの場合、
不特定多数のWeb情報を拾うAIとは違い、

メーカーが提供したバックデータを基に回答します。

そのため代理店の方も、
その情報を確認することで

自信を持ってエンドユーザーに回答できる

ようになったと言います。

結果として、

代理店からは

「単なるメーカーへの伝達役だった頃に比べて、
自分たちの仕事のやりがいが増えた」

という声まで聞くようになりました。

実はこれは、
メーカー側にとっても大きな変化でした。

問い合わせを受ける私たちも、
当然ながら人間です。

仕事には、少なからず感情が入ります。

雑に丸投げされた質問よりも、

自分なりに答えの核心に近づこうとしている質問

に対しては、

より丁寧に、
より真摯に対応しようと思うものです。


おわりに

ここまで読んで、
こう思った方もいるかもしれません。

「でも、それはどうやって作るのか?」

次の記事では、

AIが私の代わりに答える仕組み

を解説します。

次の記事では、
「AIが自分の代わりに答える仕組み」
を作った話を書きます。

NotebookLM引き継ぎ録③ 「AIが私の代わりに答える仕組み」 ――NotebookLMで“思考”を残す方法
営業のノウハウは人の頭の中にあることが多く、引き継ぎが難しいものです。本記事ではGoogleのNotebookLMを使い、AIが私の代わりに代理店の質問に答える仕組みを解説します。知識だけでなく「思考」を残す新しい引き継ぎ方法です。

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