はじめに
ここまでの記事で
・AIが問い合わせ対応を助けること
・NotebookLMで思考を残せること
を紹介してきました。
このNotebookLMシリーズでは、営業ノウハウや問い合わせ対応の知識をAIに残す方法を実際の体験をもとに紹介しています。
まだ前の記事を読んでいない方は、まずこちらから読むと全体の流れが分かりやすいと思います。

しかし実は、私は7年ほど前に
ある顧客のAIプロジェクトを
仕入れ先メーカーの立場としてサポートした経験があります。
当時は、企業のAI導入ブームの真っ最中でした。
「AIを導入すれば、仕事は自動化される」
そんな期待が広がる中で、
ある企業が大規模なAIシステムを導入しました。
目的は
製品知識をAIに覚えさせ、
チャットボットで製品の問い合わせ対応をすること。
当時としては、かなり先進的な取り組みでした。
その企業様からは、
毎週数百件の問い合わせをいただいていたため
「これで、うちへの問い合わせも少し減るかもしれない」
しかし数年後、このAIはほとんど使われなくなりました。
第1章:私が関わったAIプロジェクト
そのAIプロジェクトでは
仕入れ先メーカーである当社にも協力依頼が来ました。
担当者は、このプロジェクトのために
アサインされた他部署のスタッフ。
特にITのスペシャリストというわけでは
なさそうでした。
しかし、経営陣からの大きな期待を背負っており
「製品情報をAIにとにかく喰わせたい(覚えさせたい)」
という依頼でした。
カタログ
技術資料
製品仕様
さらには
検索で使われるSEOワードまで
関連する資料をできるだけ多く
AIに渡してほしいというものでした。
担当者の方からは
「いただくデータが少ないと
他社製品が優先的に表示されてしまうので、
できるだけたくさんの資料をいただけると助かります」
と言われました。
その言葉を聞きながら
「なるほど、そういう仕組みなのか」
と思いつつ
私もその対応に追われました。
各事業部に資料を依頼し
情報を整理して提出する。
正直に言えば
かなり大変な作業でした。
ただ、そのとき私は
「これだけ大量の情報をAIに渡すだけで
本当に的確な回答ができるのだろうか」
当時は
「データを入れればAIは賢くなる」
と信じられていた時代でした。
第2章:AIは導入された
そのAIは
大きな期待とともに導入されました。
当時としては
かなり大規模なプロジェクトで
投資額も小さくありません。
AIが製品知識を理解し
顧客からの問い合わせ対応に
疲弊していた内勤営業社員の代わりに
AIが回答する。
そして
社員の働き方改革も
同時に実現する。
そんな未来が
描かれていました。
しかし数年後
そのAIはいつのまにか
ほとんど使われなくなりました。
社内では
「これで問い合わせ対応はAIの時代になる」
と言われていました。
第3章:なぜAIはうまくいかなかったのか
理由は
後から考えると
とてもシンプルだったと思います。
確かにAIには
製品に関する資料はたくさん入っていました。
しかし
思考は入っていませんでした。
実際に私が作ったNotebookLMでは、この「思考」を残すことを一番重視しました。
AIがどのようにして人の代わりに回答できるようになるのかは、こちらの記事で詳しく解説しています。

営業の世界では
・どの用途に
・どの製品を
・なぜ勧めるのか
という
判断基準
が重要です。
しかし多くの場合
それは
人の頭の中
にあります。
なぜなら、この部分は
メーカーにとっての最重要ノウハウだからです。
たとえ資料化されていたとしても
競合他社に漏れることを恐れ
多くの場合は
社外秘の資料として扱われます。
つまり
判断基準そのものが
属人化された知識なのです。
もちろん、私たちも
社外秘の資料をAIに喰わせることはできませんでした。
メーカーにとって
その部分は最も重要なノウハウだからです。
つまり
AIに必要だったのは資料ではなく
人の判断基準だったのです。
第4章:AI導入が目的になってしまう
もう一つの問題は
AI導入の目的でした。
本来
AIは
課題を解決するための道具
です。
しかし現実には
「AIを導入する」
こと自体が
目的になってしまうことがあります。
トップダウンで
「AIをやろう」
となると
プロジェクトは
大きくなります。
システムも
巨大になります。
しかし
現場の知識は
整理されないままです。
第5章:NotebookLMがうまくいく理由
それに比べて
私が活用したNotebookLMは
とても小さな仕組みです。
特別なシステムも
プログラミングの習得も必要ありません。
同じことができるシステムを外注すれば
1000万円かかるとも言われています。
しかし今回、私が支払った費用は
0円です。
あるのは
・資料
・判断基準
・思考
だけです。
ひとつだけ工夫したのは
製品の選定判断基準でした。
私は引退を意識したこの1〜2年で
何も知らない代理店の営業マンでも
間違いなく製品選定ができる
セレクションガイドを
メンバーと一緒に作成しました。
というのも、通常工業用製品のメーカーは
製品のスペックを並べて終わりです。
製品担当者は細かく分かれているため
自分の担当製品の資料しか作りません。
それが何年も続くと
カタログの中で製品がバラバラに掲載されることになります。
同じ用途でも
複数の製品が重なり
製品同士の競合(カニバリ)も起こります。
もちろんメーカーの営業は
長年の知識と経験から
適切な製品を選ぶことができます。
しかし、その判断は
多くの場合
人の頭の中にあります。
そこで私は
営業初心者でも同じ判断ができるように
ユーザーの使用シーンに応じて
製品をシンプルに選べるよう整理しました。
この
・資料
・判断基準
・思考
の3つを整理すると
AIは
かなり賢く答えるようになります。
つまりNotebookLMが賢いのではありません。
人の判断基準を整理したことが成功の理由でした。
第6章:AIの本当の使い方
うちの会社でも
「AIを導入したい」と言うと
本社から
「それで人は何人削減できるのか?」
と詰められることがあります。
そのため
「AIという単語はご法度です」
と言っていた部門長もいました。
企業の中では
AIはどうしても
人を減らすための道具
として見られがちです。
しかし私は
AIは
人を置き換えるツールではない
と思っています。
AIは
思考を整理するツール
です。
実際に私は、日常生活でもAIを使って「判断基準」を作っています。
例えば、健康管理ではChatGPTと一緒に食事の判断軸を作り、迷わない生活を実践しています。

そして
知識を残すツール
でもあります。
巨大なAIプロジェクトより
まずは
自分の知識を整理すること。
そこから
AIは本当の力を
発揮するのだと思います。
AIの価値は
人を減らすことではなく
人の知識を残すこと
なのかもしれません。
おわりに
7年前
私はAIプロジェクトの資料整理に追われていました。
その時は
「この作業に意味があるのだろうか」
と思ったこともあります。
しかし今になって
その経験が
点と点のようにつながりました。
ちなみに、この「点と点がつながる感覚」は、定年前後の人生でも同じでした。
定年後に実際に感じた現実については、こちらの記事にもまとめています。

AIの本当の価値は
巨大システムではなく
人の知識を残すこと
なのかもしれません。
定年後の準備は第2の人生へのプレゼント。さあ始めましょう。
併せて読みたい記事 3選

引き継ぎがうまくいかない理由は、能力ではありません。
問題は「属人化」です。
なぜ仕事は
「あの人に聞かないと分からない」
状態になってしまうのか。
NotebookLMシリーズの出発点です。

AIに資料を入れるだけでは
実務では使えません。
重要なのは
・知識
・判断基準
・思考
を残すこと。
NotebookLMが
「私の代わりに答える仕組み」を解説します。
営業ノウハウは
ベテランの頭の中にあります。
NotebookLMを使えば
・営業判断
・問い合わせ対応
・製品選定
をAIに残すことができます。
私が実際に作ったNotebookLMの構成を公開します。

定年準備中の64歳サラリーマン。
実体験をもとに、定年後のお金・健康・暮らしについて発信しています。 同じ立場の方が、少し楽になるヒントを届けたい。


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