老人ホーム選びの準備と条件整理|骨折→リハビリ→施設探しの現実(前編)

家族

親の骨折は「突然の出来事」なのに、
施設選びは待ってくれない。

私たち家族も、まったくの初心者の状態から
・どこから探す?
・どう比較する?
・何を見れば失敗しない?

と混乱しながら、一つずつ進めていきました。

今回の第3話では、
“具体的にどう探し、どう決めたのか”を完全実録
とともに、私たちが実際に使って「本当に助かった」
施設比較サービス(みんなの介護)
も紹介します。

第1章 はじめに:施設選びは「急に始まる」。だから地図が必要だった

昨日まで当たり前のように一人で生活していた母が、突然の大腿骨骨折で入院しました。手術は無事に終わったものの、医師から告げられたのは厳しい現実――若い人なら元の生活に戻れるけれど、高齢者の場合は“良くて7割の回復”にとどまる、というものでした。

つまり、杖さえあれば階段もこなしていた母が、これからは歩行車が必要になり、3階建ての自宅での生活は現実的に難しくなるということです。私たち家族にとって、それは“生活の前提が変わる瞬間”でした。

ショックを受ける間もなく、病院からは「リハビリ施設か老人ホームを、あと1か月以内に探してください」と告げられます。突然のタイムリミットに、私たちは一気に“介護の現実”へ放り込まれました。

前回は、介護施設の種類や特徴について整理しましたが、いざ実際に探し始めると状況はまったく違います。そこで今回は、私たちがまったくの初心者の状態から、どのように施設を比較し、資料を取り寄せ、見学し、候補を絞っていったのか――そんな「具体的な探し方」にしぼってお話しします。

この記事では、次の疑問に答えながら進めます。

  • 何から始めればいい?
  • どう比較すれば失敗しない?
  • 資料請求はどこで?
  • 見学はどう申し込む?

同じ状況に直面した方が、少しでも早く“正しいルート”にたどり着けるように――そんな思いで書いています。

第2章 まず最初にやるべき“たった1つのこと”――条件を整理する

施設探しは選択肢が多すぎるため、条件を決めずに動くと確実に迷子になります。まずは「家族の状況」を冷静に整理するところから始めましょう。

①要介護度

どれくらい介護・補助を必要とするかを表す指標です。要介護度は、受け入れ可能な施設の種類や毎月の費用に大きく関わるため、最重要項目です。

認定は、市区町村の介護保険担当窓口で申請し、主治医の意見書などをもとに「介護認定審査会」で決まります。結果が出るまで約1か月かかるため、早めに動くことが大切です。

以下は要支援・要介護の一覧表です。

🧩 要支援・要介護の一覧表(1〜5)

区分呼び方状況の目安必要となる支援・介護
要支援1軽度の支援が必要・基本動作はほぼ自立
・掃除・買い物など一部に困難
・生活支援中心(家事援助)
要支援2軽度〜中度の支援が必要・日常生活に一部介助が必要
・転倒リスクや筋力低下
・生活支援+軽い身体介護
要介護1軽度の介護が必要・立ち座りが不安定
・一部の身の回りが難しい
・歩行介助・排泄・入浴の一部介助
要介護2中度の介護が必要・階段・歩行が困難
・身支度に介助が必要
・中度の身体介護全般
要介護3重度寄りの介護・車いす生活になる場合も
・身の回り全般で介助
・日常生活全般の介助が必須
要介護4重度の介護が必要・起き上がり・移動が困難
・ほぼ全面的な介助
・排泄・入浴・食事ほぼ全介助
要介護5最重度の介護が必要・寝たきり・コミュニケーションが困難になる場合も・24時間レベルの全面介護

月額予算

まずは、親の現在の預貯金と、毎月入ってくる年金・収入を把握しましょう。そのうえで「毎月いくらの施設なら何歳まで持つか」をシミュレーションします。

私の場合は、母が持ち家に住んでいたため、実家の賃貸化・売却も視野に入れて検討しました。

ご自身のお金で親の介護費用を補填している方も見かけますが、正直おすすめしません。理由は2つあります。

  • 将来自分が老後貧乏になるリスクがある
  • 「誰がどれだけ負担したか」で兄弟間トラブルになりやすい

可能な限り、親の資産で費用が完結する形をおすすめします。

③家族の通いやすさ

家族が無理なく面会できる距離も重要な条件です。私の経験では、自宅から1時間以内の郊外がベストでした。

私は月に1回、近くに住む兄弟は月2回ほど訪問しています。しかし、この訪問頻度は「入居者間のマウント」に直結します。

母からは「○○さんの家族は毎週来てくれるのに…」といった話をよく聞きます。私が仕事で2か月行けなかったときは、やんわり、チクリと言われました。

1回の訪問で、往復2時間、面会2時間、ご飯も入れると半日が潰れます。あまりに遠いと心身ともに負担が大きくなり、足が遠のきがちです。

また、母が2度目の骨折で救急搬送された際には、夕方の渋滞で到着まで2時間かかった経験もあり、改めて距離の重要さを痛感しました。

④医療対応の必要度

施設選びでは、本人が「どれくらい医療的なサポートを必要としているか」も大きな判断材料です。

人工透析のほか、在宅酸素療法(酸素チューブ)、胃ろう・経管栄養、インスリン注射、たん吸引、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)の管理など、日常的な医療処置が必要な場合は、受け入れ可能な施設が大きく変わります。

特に、胃ろうや酸素療法は医療体制が整った施設でないと対応が難しいため、最初の段階で必ず確認しておきましょう。

本人の性格(静か/賑やか/個室か)

意外と重要なのが、この「性格」の項目です。

母は父の死去後、40年近く一人暮らしを続けていたため、プライベート空間が欠かせませんでした。このため個室がある施設を選びました。

また、母は社交性があるため、イベントが活発な施設のほうが向いていると感じました。実際、実家近くの特養を見学した際には、昼からカラオケ大会で盛り上がっていて、賑やかな環境が好きな方にはとても良い印象でした。

家族は、親の性格を長年見てきています。まずは「こんな施設を考えているけどどう?」と聞いてみるのが一番です。

母には「あなたに任せるわよ」と言われました。表向きは淡々としていますが、心のどこかでは同意してくれているのだと思いました。

条件を決めないまま見学すると、どの施設も良く見えてしまいます。 最初に条件を整理することは、後悔しない施設選びの大事な第一歩です。


第3章 施設ごとの比較ポイント

①費用

入居初期費用、毎月の費用はもちろん、介護度や収入によって自己負担額が変わります。また、追加リハビリ、マッサージ、訪問理髪などのオプション費も確認しておきましょう。

母も女性なので、髪を切ってもらって「若くなったね」と言われると本当に嬉しそうでした。こうしたサービスが利用しやすいかも、生活の質に直結します。

②スタッフの雰囲気

これは必ず現地で確認すべきポイントです。丁寧で優しいだけでなく、感情に流されずきちんと筋を通して対応できるスタッフがいる施設は、安心して任せられます。

  • 否定しすぎない
  • でも不安は取り除く
  • 感情に寄り添いながら、穏やかに話を終わらせる

見学した際、あるおじいさんが「俺のお金を出せ!ここにあるはずだ!」とスタッフに詰め寄っていました。認知症の方によく見られる“物盗られ妄想”です。

そのときの介護士さんの対応が見事でした。

「〇〇さん、不安になりますよね。お金は大切にされてますもんね。でも大丈夫ですよ。こちらの施設では、現金はすべてご家族が安全に管理されています。〇〇さんのお金はしっかり守られていますのでご安心くださいね。」

寄り添い → 安心 → 別の話題へ誘導。この対応が自然にできている施設は、教育が行き届いている証拠だと思いました。

入居者の表情

受付近くに食堂があり、食事以外の時間も入居者がテレビを見たりイベントに参加していたりします。そのときの表情が親に近いかどうか、しっかり見ておきましょう。

ある施設では、数人が食堂に座っていましたが、テレビを見るわけでもなく、30分後に通っても同じ姿勢のまま。兄弟は「まるで置物みたいだね」と言っていました。

会社員の感覚だと“食堂=会話の場”のイメージですが、認知症が進んでいる方が多い施設では、静かで動きが少ないこともあります。

母は頭がしっかりしているので、会話できる人がいるほうが楽しそうだと思い、入居者の雰囲気も重視しました。

④医療連携(夜間対応とは?)

週に何回医師が来るのか、あるいは毎回外来へ連れて行くスタイルなのか。これは親の健康状態に合わせて選ぶ必要があります。重度であれば“介護医療院”のように医療体制が強い施設が向いています。

母の場合は歩行が不自由な程度でしたので、必要に応じて皮膚科などへ連れて行ってもらっています。

夜間対応も重要です。夜勤スタッフが何名いるか、どのくらいの頻度で巡回があるかを確認しましょう。

母は戦前の生まれで「人に頼らない」タイプ。ある夜、転んで前歯を床にぶつけ、4本がぐらぐらになる大怪我をしました。

ナースコールを押せばすぐ来てもらえるのに「夜中に呼ぶのは悪い」と思い、朝まで血の付いたハンカチで押さえながら耐えていたそうです。翌朝、介護士さんから「〇〇さん、遠慮せず呼んでくださいね」と注意されていました。

大事に至らなかったのは本当に幸いでした。夜間対応が整っている施設は、やはり安心度が違います。

ちなみに、前歯は4本中3本がくっついたそうです。戦前生まれの人の生命力は本当にすごいですね。

リハビリの頻度と内容

自分の親が希望するリハビリが、どれくらいの頻度で受けられるのかも確認が必要です。

母は救急病院の退院後、リハビリ病院に入らず直接老人ホームに入りました。そのため、週3回、理学療法士(PT)さんに訪問いただき、歩行トレーニングを続けました。

その結果、歩行車で自力歩行が可能になり、失禁も改善。生活の質(QOL)が大きく向上しました。

後編につづく:次はいよいよ“具体的な探し方”へ

ここまでが、施設選びを始める前に知っておくべき「準備」と「比較の基準」です。
急に訪れる介護でも、土台さえ整っていれば迷いは少なくなります。

次回の後編では、いよいよ実際にどう探し、どう絞り込み、どう決断したかを、私たち家族の実体験をもとに解説します。

「どこから探せばいいの?」
「資料請求ってどう使えばいい?」
「見学はどこを見る?」

そんな疑問にすべて答えますので、ぜひ後編も読んでいただければ嬉しいです。

定年後の準備は第2の人生へのプレゼント。さあ始めましょう。

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① 母の骨折体験記①――「まさか、うちの母が?」突然の大腿骨骨折と私の決断

母が突然の大腿骨骨折で入院したあの日。
「入院後どう生活が変わるのか」「リハビリはどこまで回復するのか」
その“最初の現実”をまとめたのがこちらの記事です。
前編でお話しした “施設探しの始まり” をより深く理解できます。


② リハビリと施設選び――迷いやすい“老後の選択”を地図にする

施設探しは「何から始めたらいいの?」が一番の悩み。
この記事では、骨折 → リハビリ → 施設探しまでの流れを
わかりやすく“地図”として整理しています。
今回の前編とセットで読むと、全体像がスムーズにつながります。


③ 60代の住まいの問題――全部検討した末に私が選んだ“終の棲家”

老後の住まいは「自宅」「引っ越し」「施設」など選択肢が多く、
どれも正解がないからこそ迷います。
骨折・介護がきっかけで住まいを再検討する方も多いため、
この“終の棲家”の記事は介護シリーズとの相性が抜群です。

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