1. はじめに ― 医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに、所得から差し引ける制度です。確定申告を行うことで、払いすぎた税金が還付されます。家族分の医療費も合算できるため、大きな出費があった年にはぜひ活用したい制度です。
かくいう私も50代までは仕事に追われる日々で、年末調整の書類すら家内に任せていました。確定申告など「自分には関係ない」と思い込み、避けてきたのです。
しかし60代になり、眼内レンズやインプラント、セラミック治療といった高額の自費診療を経験すると、「せめて一部でも取り戻したい」と考えるのが人情。医療費控除は、そんな時にこそ役立ちます。
今年、大きな医療費の支払いがありそうな方へ。少しの手間で“臨時のお小遣い”が戻ってくるなら、一緒に挑戦してみませんか? 面倒くさがりの私でもできた、シンプルな方法をご紹介します。
2. 準備その1:領収書や証明書の整理方法
① 健康保険組合からの通知
会社員の場合、翌年2~3月頃に「医療費のお知らせ」が送られてきます。これは病院や薬局で支払った保険診療分の一覧で、申告時に領収書の代わりとして利用できます。
② 自費診療の領収書
「医療費のお知らせ」に載らないのが自費診療です。必ず自分で領収書を保管しておきましょう。クリアファイルでまとめるのがシンプルでおすすめです。
✅控除対象となる主なもの
- インプラント治療費
- 白内障の眼内レンズの一部費用
- 虫歯治療のセラミック
- 入院費、病院に支払う食事代
- 重大な疾病治療に関連した人間ドックや健康診断費用
- 通院のための交通費(公共交通機関に限る)
✅控除対象とならない主なもの
- 美容整形
- 病気治療目的でない人間ドック・健康診断・予防接種
- 健康増進のためのサプリ・健康食品
- 入院時の差額ベッド代
- 通院時の自家用車ガソリン代・駐車料金・タクシー代(電車やバスが使える場合)
- 近視など一般的なメガネやコンタクトレンズ代

③ 医療保険など給付金明細
白内障手術など自費診療でも医療保険からお金が支払われる場合もありますのでそちらの支払い明細も忘れずに保管しておきます。

④ セルフメディケーション税制対象の医薬品
もし年間の医療費が10万円を超えそうにない場合には、「セルフメディケーション税制」という別の制度もあります。
これは、疾病の予防や健康の維持増進を目的として薬局で薬剤師が説明して販売する「要指導医薬品」や「一般用医薬品」を購入した場合に利用できる制度です。本人や生計を一にする家族の分を合算し、年間で12,000円を超えた部分(上限88,000円)が控除対象となります。
サプリメントや健康食品は対象外ですが、風邪薬や胃腸薬などは対象になることがあります。パッケージや領収書に「セルフメディケーション税制対象」と記載があるかを確認してください。
なお、この制度と医療費控除は併用できません。どちらを選ぶかは年間の医療費総額で判断しますので、念のため対象医薬品のレシートも保管しておくことをおすすめします。

例えば、私が常備しているこちらの鼻炎薬も対象医薬品のひとつ。こうしたレシートを保管しておけば控除に使えます。
3. 準備その2:年間医療費の合計と控除の対象額
医療費控除を申請するには、まず1年間に支払った医療費を整理して合計額を出す必要があります。以下のステップで確認すると分かりやすいです。

① 支払った医療費の合計
3月初旬になると、会社から「前年の年間医療費のお知らせ」という書類が届きます。生計を一にする家族の医療費が一覧になっており、その中の「自己負担額」の欄を確認します。

② 自費診療の領収書合計金額
保管しておいた自費診療の領収書を合計します。例えば、インプラント治療や白内障の眼内レンズの一部負担、セラミック治療などが該当します。
③ 民間の医療保険からの給付金合計
加入している民間医療保険から支払われた給付金を合計します。保険会社から届いた「お支払いのご案内」を確認しましょう。
④ 高額療養費や付加給付の合計
健康保険組合からの「高額療養費支給のお知らせ」や「付加給付のお知らせ」で確認できます。これらの金額も医療費から差し引く必要があります。
4. 確定申告の実務 ― スマホでの申請手順
今では確定申告のために、混雑する税務署に足を運ぶ必要はありません。
最もおすすめなのは、自宅からスマホで申請する方法です。マイナンバーカードで認証でき、領収書や寄附金受領証明書を撮影してアプリに保存できるため、手続きが格段に楽になります。
① 事前に用意するもの
- マイナンバーカード
- マイナポータルアプリ。スマホにダウンロードしておきましょう。
- 会社から年末にもらう源泉徴収票
- 健康保険組合の昨年度の「医療費通知」
- 自費診療の領収書すべて(まだ申請していなければ5年前のものまで有効)
- ふるさと納税の昨年の「寄附金受領証明書」すべて
② 入力アプリについて
実際は国税庁のe-taxで申告していくのですが、我々サラリーマンの場合はマイナポータルを入り口としていく事をお勧めします。そのメリットは以下の通り。
- 医療費通知(健康保険組合からのデータ)を自動取得できる。これとても便利です。
- ログインがマイナンバーカード1枚で済む。
- ふるさと納税なども自動で取り込める場合がある。
③ 入力の流れ
- 申告開始(e-Taxへ接続) 「確定申告書等作成コーナー」へ移動 申告方法で「マイナンバーカード方式(2次元バーコード方式も可)」を選択
- 所得情報の入力 会社の源泉徴収票を見ながら金額を入力(給与所得)
- 医療費控除の入力 「医療費控除」を選択 健康保険組合から自動連携された医療費通知を読み込む 自費診療の領収書合計額を手入力 医療保険給付金や高額療養費で補填された額を差し引き入力健康保険組合通知の金額を入力
- ふるさと納税の入力 「寄附金控除」を選択 自動連携があれば読み込み、なければ証明書を見ながら1件ずつ入力 必要に応じて証明書をカメラで撮影して添付
- 控除額・還付額を確認 還付予定金額が自動計算されて表示される 入力内容を再チェック
- 電子申告(送信) マイナンバーカードをかざして電子署名 送信完了後、受付番号を控える
5. 申請後の流れと還付金の受け取り
送信が完了すると、税務署から確認の連絡があり、通常1~2か月で指定の銀行口座に還付金が振り込まれます。
私の場合、今年は早く、申告3週間後3/31に還付金が振り込まれました。振り込まれる瞬間はまさに「医療費控除の醍醐味」です。その金額にはふるさと納税の還付も含まれているので純粋には喜べないのですが、、。
6.医療費控除・ふるさと納税の控除の仕組み
ふるさと納税の申告のしかたは①ワンストップ特例と②確定申告がありますが、控除される税金の種類が違ってきますので以下に説明します。なお控除額はどちらも一緒です。

注意:ワンストップ特例は「確定申告をしない人」向けです
ふるさと納税をワンストップ特例で申請していても、翌年に医療費控除(または住宅ローン控除など)で確定申告をするとワンストップ特例は無効になります。
その場合は、ふるさと納税分も確定申告の「寄附金控除」へ入力してください。
自治体から届く「寄附金受領証明書」または「寄附金控除に関する証明書(統一様式)」を使えばOKです。
👉 結論:確定申告をする年は、ふるさと納税も含めて確定申告に一本化するのが安全・確実です。
7. まとめ ― 医療費控除とふるさと納税を賢く活用するために
医療費控除もふるさと納税も、手間をかければかけただけ確実に生活を助けてくれる制度です。特にスマホを使った確定申告は、マイナポータルを通じて自動入力やデータ連携ができるため、思った以上に簡単に進められます。
ポイントは以下の3つです。
- 領収書や証明書はその都度クリアファイルやアプリで整理しておく
- 医療費控除とふるさと納税は「確定申告に一本化」して処理するのが安心
- 還付金は所得税と住民税の両方に影響するので、翌年の家計にも効いてくる
面倒そうに見えても、いざやってみると「思ったより簡単だった」と感じるはずです。ぜひ今年はチャレンジして、還付金が振り込まれる喜びを体験してください。
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定年準備中の64歳サラリーマン。
実体験をもとに、定年後のお金・健康・暮らしについて発信しています。 同じ立場の方が、少し楽になるヒントを届けたい。


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