はじめに
ここまで私は
NotebookLMを使った
代理店の問い合わせ対応力の向上や
引き継ぎの方法について書いてきました。
しかし書きながら
あることに気付きました。
- 知識
- 判断軸
- 思想
人が仕事で使っているのは
実はこの3つです。
知識だけでは
答えは出ません。
判断軸と思想があるからこそ
人は答えを導き出すことができます。
そしてNotebookLMは
この3つを結びつけて
答えを作ることができます。
この仕組みは
会社の仕事や引き継ぎのためだけではない。
むしろ
定年後の人生
にも関係しているのではないか。
第1章:定年後に起きること
多くの人は、定年後こう感じます。
「自分の会社員としての長年の経験は役に立つ。
管理職として、職場のリーダーとして
部下や若手から頼られる存在だったのだから」
しかし同時に、こうも思います。
「でも、退職後、違う業種や会社で
それをどう活かせばいいのか分からない」
長年の経験は頭の中にはあります。
しかし、それを
形にする方法
がありません。
だから退職後、ハローワークなどで
職員からこう聞かれます。
「あなたは何ができるんですか?」
そのとき、
「私は部長ができます」
と答えてしまうシニアがいるわけです。
第2章:知識は資産になる
今まで、定年後の資産といえば
・貯金
・株
・不動産
といったものが中心でした。
しかし、これからは
知識も資産になります。
これまで、自分の知識を資産として活かせるのは
一部の学者や、大企業の経営幹部などに限られていました。
しかし今、状況が変わりつつあります。
AIが、私たちの知識を
整理し、再利用できるようにするからです。
つまり、これまで頭の中にあった経験が
データとして活用できる時代になったのです。
たとえば、今、私が手掛けようとしているのは
ある会社の製品ブログの執筆です。
もちろん、在籍していた会社の機密情報を書くわけではありません。
しかし、製品の使い方やデータの見方など、
初心者が基礎から学べる教材は、実はほとんど存在していませんでした。
メーカーは製品のPRにはお金をかけます。
しかし、基礎知識の解説は直接売上につながりにくいため、
誰も手を付けてこなかった分野だったのです。
ところが今は、
買い手がWebやAIで情報を調べ、自ら判断する時代です。
その結果、こうした基礎知識を解説する情報の価値が
むしろ高まってきています。
こうした需給ギャップに気付かせてくれ、
そして私の知識を形にしてくれているのも、AIなのです。
第3章:AIは「第二の頭脳」
NotebookLMを作って、私が一番驚いたのは
AIが自分の考え方を再現する
という点でした。
資料と判断基準を入れておくと、
AIはかなり自分に近い答えを出します。
つまり、AIは
第二の頭脳
になるのです。
こんなこともありました。
現在、工業製品のサプライチェーンはグローバル化しています。
そのため、地政学リスクが起こると、顧客から同じような確認メールが届きます。
- ○○産のレアアースの輸出規制に抵触しませんか?
- XX地震の影響は、貴社の生産体制に影響がありますか?
- △△海峡の封鎖で、供給状況に問題はありませんか?
社内のフローでは、この場合に確認すべき担当者のリストがあるだけです。
そしてそのフローに従い、関係部署に確認して回答します。
しかし、同じ質問は、同じ代理店の
別の担当者経由で、別顧客からも何度も届きます。
そのたびに同じ確認を行い、同じ説明を繰り返すことになります。
結果として、対応する側はかなり疲弊します。
そこで私は、こうした問い合わせに対する判断基準をNotebookLMに入れておきました。
「○○問題を聞かれた場合は、代理店のXXさんに連絡し、
回答事例を代理店の社内で共有してもらう。
同じ質問が来た場合は、その回答を使ってもらう」
通常の引き継ぎでは、ここまで細かい判断基準は残りません。
そのため、後任は同じ問題に直面し、
同じように悩み、試行錯誤して、
ようやく同じ結論にたどり着くことになります。
しかしAIを使えば、
その思考プロセスごと残すことができるのです。
第4章:AIは「分身」になる
私は父を社会人になりたての24歳の時に亡くしました。
享年58歳。若すぎる急逝でした。
昭和の父子は、若い頃、それほど会話はありませんでした。
しかし、私が営業として壁に当たっている時、子供が生まれ
家庭を持った時、60歳で起業した時、
「こんな時、自営業で成功していた父だったらどんなアドバイスをくれるかな」
と幾度となく思いました。
父に相談したかったのは独り立ちしてからでした。
もし
自分の知識を
AIに残せたら
どうなるでしょうか。
例えば
・営業ノウハウ
・仕事の経験
・定年後の準備
・判断基準
それらをNotebookLMに残しておく。
するとAIは、
私の死後、家族が何かを知りたいときでも
インターネットの無数の情報を探し回るのではなく、
私が残した資料だけをもとに
自分の代わりに答える
ことができます。
それは、単なる情報検索ではありません。
私の考え方を引き継いだ存在です。
言い換えれば、
分身
なのかもしれません。
昔のドラマでは、主人公が困ったとき、
ゆかりのある人の墓前で手を合わせると、
亡くなった人の霊が現れてヒントをくれる。
そんなシーンがよくありました。
しかし未来のドラマでは、
墓前ではなく、
その人の思想が残されたAIに
相談に来る。
そんな場面が描かれるのかもしれません。
第5章:定年後の働き方が変わる
定年後の働き方は、よほどの資格や専門的な実務経験がない限り、
これまで多くの場合、
・アルバイト
・再雇用
・嘱託
といった、誰でもできそうな低賃金の仕事が中心でした。
しかし、AIがあると違う働き方が見えてきます。
例えば、自分が得意だった分野で
・アドバイザー
・コンサルタント
・教育
といった形で関わることも可能になります。
AIと対話していると、
自分では当たり前だと思っていた経験や知識を
AIが整理し、
「それはあなたの強みです」
と教えてくれることがあります。
私自身も、かつて1年間、オーディブルを聞きながら散歩をし、
さまざまな副業の可能性を探してきました。
しかしAIと壁打ちをしていると、
もっと短時間で、自分の強みや方向性を整理することができます。
また、シニアのノウハウには実際に需要があります。
先日、昔から付き合いのある代理店の社長からこんな話を聞きました。
物流センターの実務担当者を探していたものの、なかなか適任者が見つからない。
そこで思い切って、65歳以上の方を対象に募集をかけたところ、
つい最近まで現役だった物流センター長が応募してきたそうです。
週3日の勤務でしたが、
ノウハウもバイタリティもあり、
改善案まで提案してくれたそうです。
結果として、その方に3つの物流センターのオペレーションを任せることになりました。
フルタイムの若手を雇うより人件費は抑えられ、
会社としても非常に助かっているとのことでした。
懸命に生きてきた人のスキルやノウハウには、
確かに需要があります。
第6章:知識を残すという生き方
人は長く働くほど、多くの経験を持つようになります。
しかし、その経験が誰にも伝わらず、消えてしまうことも少なくありません。
なぜでしょうか。
自分から「昔はこうだった」「俺はこんなすごいことをした」と若手に話しても、
ただのうるさい爺さんの昔話に聞こえてしまうからです。
私はそれが少しもったいないと感じています。
展示会でよく会う若手の塗装職人さんたちは、
塗装のやり方を親方ではなく、
「塗装YouTuber」から学ぶと言います。
利害関係がなく、
知りたいときに、知りたいことだけを学べるからだそうです。
であるならば、
その両方を兼ね備えているAIは、
その知識を次の世代に残す
新しい道具なのかもしれません。
おわりに
定年とは
仕事の終わりではなく
知識を残すスタート。
そしてAIとは
人が生きて得た知識を未来に残すための
新しいノート
なのかもしれません。
定年後の準備は第ニの人生へのプレゼント。さあ始めましょう。
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定年準備中の64歳サラリーマン。
実体験をもとに、定年後のお金・健康・暮らしについて発信しています。 同じ立場の方が、少し楽になるヒントを届けたい。


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