はじめに
母の骨折から始まった私たち家族の「施設探し」は、正直なところ想像以上に大変でした。
ネットで得られる情報は点在し、特養・老健・有料ホームの違いも曖昧。
しかも、手術をした急性期病院からは「そろそろ次の行き先を決めてください」と急かされる――。
そんな状況のなか、私たちはどうやって迷いを整理し、最終的に“納得できる施設”を選びきったのか。
今回は 実際にやった探し方のステップ → 比較した施設のリアル → そして最終決定の理由 を、後編としてまとめます。
今まさに親の施設探しで悩んでいる方にとって、少しでも“地図”になるはずです。
第4章 私たち家族が実際にやった「探し方5ステップ」
施設探しは思っている以上に“情報戦”です。
焦って感情的になるより、まずは情報の山から 「優先順位」 を元に整理していくことが何より大事。
イメージとしては、
賃貸住宅探しや中古車選びに近い感覚 です。
条件を広めに取り、徐々に“現実との折り合い”をつけていく……そんな作業が続きます。
ステップ1:ネットで全体像を把握
まずは、主要な施設の違いをざっくり整理します。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム(介護付き・住宅型)
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
- 介護医療院
| 種類 | 概要 | できること・特徴 |
|---|---|---|
| 有料老人ホーム | 生活支援・介護・医療のバランス型。民間でサービス内容や料金が幅広い。 | 介護サービス、食事、レクリエーション、医療連携 |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 公的施設で低料金。要介護3以上が対象で入居待ちが多い。 | 24時間介護、看取り、生活支援 |
| 介護老人保健施設(老健) | 在宅復帰を目的としたリハビリ中心の中間施設。長期入居は不可。 | 集中リハビリ、医師常駐、在宅復帰支援 |
| サービス付き高齢者向け住宅(高サ住) | 安否確認・生活相談が基本。必要に応じ外部介護サービスを利用。自由度が高い。 | 自立〜軽介護向け、外部介護の導入可 |
| 介護医療院 | 医療と介護が一体の長期療養施設。老健の“医療版”の位置付け。 | 医療管理、長期療養、看取り |
| 住宅型有料老人ホーム | 介護は外部サービス利用。自立〜要介護まで柔軟に対応。 | 訪問介護・訪問看護を自由に組み合わせ可能 |
「そもそも何がどう違う?」
ここが曖昧なまま進むと、後の比較で迷走します。
検索サイトでも、これらのキーワードで絞り込めば基本は把握できます。
最初に“地図”を持つことが大事。
これだけで後の判断が圧倒的にラクになります。
ステップ2:資料を取り寄せて絞り込む
家族全員で検索し、家族LINEで日々情報交換。
場所・月額費用・介護度の受け入れ・設備 をもとに、まず10施設ほど候補を出しました。
老人ホーム探しは、住宅探しと似ています。
- 駅から近い
- 新しい
- 部屋が広い
こういった要素は高くなり、
- 駅から遠い
- 建物が古い
- 部屋が狭い
という条件なら安くなります。
入居者同士も“同じ価値観・同じ経済圏”の人は話が合いやすい。
親の状況とかけ離れた施設は、どうしても雰囲気が合いません。
資料を一気に取り寄せると、
「入居金の有無」「総額の月額費用」「設備の違い」 が一目で分かります。
最初は広く取り、徐々に3〜4つに絞るのが鉄則です。
ステップ3:気になった施設を2〜3つ見学
現場の空気は、ネットでは分かりません。
実際の決め手は、この“肌感覚”でした。
- スタッフの表情や声のトーン
- 入居者同士の距離感
- ニオイや清潔感
- 廊下や共有スペースの広さ
こういった 毎日目にする要素 が、入居者の生活満足度を大きく左右します。
特に母は、入居後に廊下ですれ違った際によろけてしまい、しりもちをついて骨折した経験があります。
この出来事を通じて、「廊下の広さ」や「動線のゆとり」は、見学時に必ず確認しておくべき重要なポイントだと痛感しました。
ステップ4:費用とサービスを比較
ここで一度、冷静さを取り戻すタイミングです。
私たちが実際に比較したのは次の3点。
- 入居金の有無
- 月額料金(総額)
- リハビリ・見守り体制
同じ施設でも、
- 入居金を多めに払って月額を下げる方式
- 入居金無しで月額が高い方式
があります。
親の健康状態・今後の見通し・経済状況を総合して、無理のない方法を選ぶのが大切です。
📝 「有料老人ホームの入居金は数千万円」説は“都市伝説”
私も長い間そう思い込んでいましたが、実際に探してみると、
それはごく一部の超高級ホームの話でした。
郊外まで視野を広げれば、入居金が数十万〜百万円台でも、
サービスや雰囲気がしっかり整った良い施設はたくさんあります。
また、あまりに高級すぎる施設に入ると、
他の入居者との生活レベルの差から、親が引け目を感じてしまうこともあります。
背伸びをした選択より、親のこれまでの暮らし方に合った“等身大の施設”を選ぶほうが、
結果として長く安心して過ごせると感じました。
ステップ5:家族で最終決定
最後は家族で
“現実と理想のすり合わせ” をします。
- 費用
- 自宅からの距離
- リハビリ体制
- 施設の雰囲気
- 親が安心して過ごせるか
この優先順位を話し合うと、自然と答えが見えてきます。
第5章 検索サイト:「みんなの介護」が役立った理由
介護施設については、ケアマネージャーさんが介護度に応じて適した種類を提案してくれます。
しかし、実際にどの施設に入るのか――これは最終的に家族が自分たちで探さなくてはいけません。
近くにある数少ない候補の中から「まあ、この辺でいいか」と安易に決めてしまうと、
雰囲気が親に合わず「施設を変わりたい」と言われたり、
気づけば高額な入居費用を延々と支払うことにもなりかねません。
今の時代、家選びや中古車選びと同じように、
IT技術を使えば膨大なデータの中から条件を絞って自分に合うものを探せる時代です。
その“介護施設版”が 「みんなの介護」。
私たち家族が実際に施設探しに使い、非常に助かったサービスでした。
ここでは、使ってみて特によかった理由を3つ紹介します。
理由1:特養・老健・有料が一覧で比較できる
個別に探すと見落としが多く、比較も難しいですが、
一覧でざっと見比べると“正解までの距離”が一気に縮まります。
私たちの場合も、以下の条件を入れただけで、
候補が10数か所まで簡単に絞り込めました。
- 都道府県・市区町村
- 介護度・認知症の有無
- 施設の種類
- 入居一時金・月額費用
「まずは全体像を把握したい」という段階でも、とても使いやすい検索性でした。
理由2:費用(総額)がわかりやすい
入居金ゼロの施設もすぐに見つかりますし、
月額費用も“総額で”表示されるため、比較がスムーズ。
家族での費用計画が一気に現実的になり、
「予算的に無理がないか?」という不安が和らぎました。
理由3:見学の予約まで一括でできる
電話が苦手でもOK。
気になった施設の資料請求から見学予約まで一気に進められるため、
家族のスケジュール調整がとてもラクになります。
公式サイトはこちら

「漏れなく探せた」という安心感が大きい
自分で探していると、どうしても“見落とし”が出ます。
しかし、一覧で見比べると 決断が早くなり、後悔も少なくなる。
「もっと良い施設があったのでは?」という気持ちが消え、
「できることはすべてやった」という安堵感が生まれました。
施設探しのスタートにおいて、心強い味方になってくれるサービスです。
第6章 私が実際に比較した“3つの施設”と決め手
● A施設:値段は安いが雰囲気が暗め
見学してまず感じたのは、スタッフの表情が硬いこと。
共有スペースもやや静かすぎて、全体的に落ち着きというより“暗さ”が目立ちました。
母は頭はしっかりしていて、人と会話するのが好きなタイプ。
もう少し気軽に声をかけ合えるような入居者がいる環境のほうが良さそうだと感じました。
● B施設:リハビリは強いが部屋が狭い
「リハビリに強い」という期待を持って見学しましたが、個室が思ったよりも狭く、圧迫感がありました。
それまで40年近く、広い三階建ての戸建てに一人で暮らしてきた母にとって、
この急激な環境の変化は毎日のストレスになりかねない――そんな心配が強く残りました。
● C施設:費用は中間、職員と入居者の距離が近い
見学した瞬間に「ここは違う」と感じた施設でした。
- 挨拶の自然さ
- スタッフと入居者の距離が近く、声掛けが柔らかい
- 施設全体に透明感がある
- 日当たりが良く明るい
- 建物も新しめで清潔感がある
これらが一度に伝わり、兄弟も「ここなら大丈夫かもしれない」と落ち着いた表情に。
入居一時金はA・Bよりやや高めでしたが、最終的に私たちは C施設に決めました。
理由:母が“自分らしく過ごせる”と感じたから。
費用や設備の数字以上に、
“その環境が親に合うかどうか”が決め手 になると実感した選択でした。
まとめ:施設選びは「情報戦」。早めに動くほど後悔しない
・骨折 → リハビリ → 施設探し
・気持ちの準備が追いつかない
・でも現実は待ってくれない
だからこそ、
「早めに情報を集めて、選択肢を把握しておく」
この一点が、家族の安心を守ります。

「迷ったら“一覧で見比べる”のが最短ルート」
【次回予告】12月1日公開予定
有料記事『介護施設の選び方・総まとめ“完全ガイド”』
今回の前編・後編では、
私たち家族が実際に体験した「骨折→リハビリ→施設探し」の流れと、
その中で気づいた“判断ポイント”をまとめてきました。
ただ、施設選びにはまだまだ書ききれていない
「本当に大事な裏側のポイント」 があります。
12月1日公開予定の有料記事では、
実体験と専門家のアドバイスを踏まえながら、
以下の内容を “これから家族が施設探しを始める人向け” に
一つの地図としてまとめた【決定版】をお届けする予定です。
🔽 予定している内容(抜粋)
- 失敗しない施設選びの“5つの判断軸”
- ケアマネ・ソーシャルワーカーに聞くべき質問一覧
- 施設見学でチェックすべき15項目
- 費用の落とし穴:入居金・月額・医療費の本当のところ
- 親の資産が“あと何年もつか”が一目でわかるエクセルシミュレーション(テンプレート付き)
- 「親が嫌がる時」の説得の仕方と心理的ケア
- 介護施設の種類ごとの相性診断(自立〜要介護5まで)
- みんなの介護を最大限活用する検索・比較術
- 家族が後悔しないための“心の準備チェックリスト”
前編・後編で描いたリアルに加えて、“これさえ知っておけば迷わない”という内容を詰め込みます。
🎁 今回の記事には特別付録として、
私が実際に作った“資産が何年もつか一目でわかるExcelテンプレート”を付けています。**
入居金、月額費用、医療費、介護度が上がった時の追加費用……
こういった数字を入力するだけで、親の資産が
・1年後
・5年後
・10年後
にどう減っていくのか、グラフで一目確認できます。
さらに、
月額費用・入居金・仕送り額を変えると、
資産の持ち年数がリアルタイムで変わる可変式モデル。
FP資格の学習経験を活かして、
“現実の介護費用”を正確にシミュレーションできるよう作り直しました。
これ、介護で悩むすべての家族が必要とするツールです。
保存版として使えるので、ぜひ活用してください。
親の介護は、突然やってきます。
いざその時に備えるための“保存版ガイド”として、
ぜひ読んでいただければと思います。
12月1日の配信を、どうぞ楽しみにお待ちください。
定年後の準備は第2の人生へのプレゼント。さあ始めましょう。
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すべての始まりとなった“骨折当日の実録”。
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▶ リハビリと施設選び――迷いやすい“老後の選択”を地図にする
急性期→回復期→その先の行き先。
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定年準備中の64歳サラリーマン。
実体験をもとに、定年後のお金・健康・暮らしについて発信しています。 同じ立場の方が、少し楽になるヒントを届けたい。





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